貴醸酒って何ですか?
貴醸酒は製造方法が他の清酒とちょっと変わっているのが特徴です。 それは三段仕込みの最後、留添えで仕込水の代わりに純米酒を使って仕込むところです。 それを20度以下の貯蔵で8年以上熟成させたものが我蔵のスタンダードな貴醸酒です。
色は琥珀色、味は非常に個性的です。 貴腐ワインのようなトロリとした濃醇甘口で、レーズンやナッツのような香味豊かな酒です。 シェリー酒、マディラ酒、貴腐ワイン、老酒の様でもあり、新しいタイプのお酒です。
「貴醸酒」の名前の由来は?
「外国のVIPが来日した晩餐会などがテレビで放映され、視聴者からどうして高級ワインで乾杯して日本酒で乾杯しないのか?!」という問い合わせが醸造試験場に多くあったのに答え、<日本独自の高級酒>として1973年に佐藤博士によって開発されました。 「貴腐ワインに比較されるタイプの高級日本酒」ということで貴醸酒と名付けられました。
どうして貴醸酒を造ろうと思ったのですか?
製造技術が公開され、全国で初めて貴醸酒を造りました。 私はパイオニア精神旺盛で、これは私の卒業した京都大学の精神でもありますが、「誰も飲んだことのない酒」を造ってみたかったのです。 新しい酒にチャレンジしたかったのです。 私の夢とロマンが貴醸酒に詰まっています。 海外でも評価が高く、日本酒に幅を広げる意味でも、世界にアピールして行きたいと思っています。  
貴醸酒を造る上で苦労した点は?
とにかく誰も飲んだことのなかった酒ですから、その上個性的な味なので製造当初は「こんな色のついた甘いのは日本酒じゃない」と、なかなか酷評でしたが、最近では食文化の多様化などによりやっと貴醸酒が受け入れられる土壌ができたように思われ喜んでいます。また、貴醸酒は酒で仕込むためコストがかかります。 日本酒には仕込み水が大切なように仕込み酒も上質なものを使う必要があります。さらに、貴醸酒はエキス分が多く、何年も熟成させることが必要なため、造ってもすぐにお金にならず採算を取るのが難しいことです。(実際取れていません。)
貴醸酒をどんな時にどんな料理と飲んで欲しいですか?
貴醸酒の由来に習って、豪華な乾杯に。また、食前酒として。 
特にお正月には屠蘇散を30分程度漬けるだけでデラックスで
おいしいお屠蘇を楽しめます。 
また、味の濃い甘味のある食材と合います。例えば、フォアグラ、ブルーチーズ、うなぎ、レバー、アラ煮、中華料理など。 
デザートとして、バニラアイスクリームにかけたり、ビターやナッツチョコレートと、またフルーツケーキと食べると最高です。
ナイトキャップとしていかがでしょう。
従来の日本酒の型にこだわらず、ひとつの飲み物として自由に楽しんで頂ければ幸いです。

榎酒造(広島県)のデータより抜粋
させていただきました